フロスと歯間ブラシ、自分の歯にはどちらが向いているのかでお悩みでしょうか?フロスと歯間ブラシをうまく使い分けるには「歯のすき間」がキーワード。歯科衛生士があなたのフロスと歯間ブラシの見極め方を解説します。
・フロスと歯間ブラシの違いやそれぞれの得意な点
・自分にはフロスと歯間ブラシ、どちらが合っているのかという点
・歯間ブラシとフロスのタイミングは歯ブラシより前なのか後なのか
フロスと歯間ブラシの違いとは
フロスと歯間ブラシ、どちらとも「歯と歯の間を磨く補助的清掃用具」という位置づけです。しかし、両者は微妙に使用する用途が異なるグッズで、それぞれに得意分野があります。
両者の違いを簡単にご説明します。
- フロスは、歯のすき間がせまい部分の清掃に適している
- 歯間ブラシは、歯のすき間が広く開いた部分の清掃に適している
それぞれについて詳しく深掘りしていきましょう。
フロスは歯のすき間がせまい部分の清掃に適している
フロス=糸ようじは、名前の通り糸状になっているので「せまい空間」を清掃するのが得意です。
例えば
- 比較的せまい歯と歯の間
- ブリッジ(橋のように何歯かにわたって連結したかぶせ物)の人工歯部分の底
- 凹凸した歯並びのすき間
- 歯周ポケット(歯と歯ぐきのすき間)の中
などが挙げられます。
歯間ブラシは歯のすき間が広く開いた部分の清掃に適している
対して、歯間ブラシは「広いすき間」を磨くのが得意です。
例えば
- 歯周病などで歯ぐきが下がり、歯と歯の間にある程度のすき間が生まれている方
- ブリッジ(橋のように何歯かにわたって連結したかぶせ物)の人工歯と歯の間
- 矯正装置の周辺
- すきっ歯の人
などが挙げられます。
私、ブリッジのかぶせ物を入れているけれども、結局はフロスと歯間ブラシ、どっちを使ったらいいの?
ブリッジのかぶせ物を入れられている方は、要は「磨きたい箇所のすき間がせまいか、広いか」で選んだらよいでしょう。
上記の例は、あくまで一般的な事例です。
ブリッジをはじめとするかぶせ物はメンテナンスやセルフケアを地道に行うことが長持ちするコツです。
詳しくはかかりつけの歯科医院で歯磨き指導を受けられることをおすすめします。
自分にはどっちがいいの?|フロスと歯間ブラシの使い分け
上記で歯間ブラシとフロス、それぞれの得意分野についてご紹介しました。勘のよい方は「自分であれば、歯間ブラシとフロスのどちらを選べばよいのか」といったことが見えてきたでしょう。
もちろん、歯科医院で歯磨き指導を受けられて、自分に合った歯間ブラシもしくはフロスをプロに選択してもらうのがベストです。しかし、中にはお仕事や育児の都合上、通いにくい方もおられるでしょう。
こっちは仕事とかで忙しいのよ!歯科医院へ行かずとも、自宅で手軽に分かる方法はないの?
お忙しい方へ向けて、自宅で手軽に行える歯間ブラシとフロスの見極め方法を以下にお伝えします。
30代以降の方へ|先に歯間ブラシで試してみる
歯間ブラシとフロスのどちらが自分の歯に合っているのか知りたい方は、まず最初に歯間ブラシを購入してみてください。
ここで重要ポイント。歯間ブラシのサイズはできる限り細いサイズ、具体的には3S(SSS)~4Sサイズ(SSSS)を選びましょう。
3S・4Sサイズの歯間ブラシを、歯と歯の間やブリッジなど磨きたい箇所に挿入してみてください。そこで詰まることがなく「スルッ」と入ってしまえば、それだけのすき間が存在しているということです。
ある程度、開いた歯のすき間を清掃するのは「歯間ブラシ」が適していますので、この場合は歯間ブラシを補助的清掃用具として取り入れましょう。
30代以降?なんで30代以降の人は、先に歯間ブラシから試してみるのかが分かりにくいな・・・。
見出しに「30代以降の方へ」と記載したのは理由があります。
30代以降の方の3人に2人は「歯周病もしくは歯周病予備軍」というデータがあります。
参考:「歯周病は国民病」(LION)
要は30代以降の方から、歯周病が原因で歯のすき間があいてきている可能性が少なからずあるので、まずは歯間ブラシをおすすめいたしました。
もちろん個人差は大きいです。まだ30代の方であれば、歯と歯の間がそこまで広がっていない人の方が多いので「歯間ブラシ+フロスのW使い」が一般的です。
「歯間ブラシ+フロスのW使い」そこまでデキる人って、めったにいないんだけれどね・・・。30代の方は、最低でもフロスは歯磨きの際に取り入れるとよいでしょう!
20代以下の方へ|まずはフロスを試してみよう
対して10代・20代の方は、歯列矯正や生まれつきすきっ歯の方などは除いて、まずはフロスを試してみましょう。
理由は上記の説明と同様になりますが、要は本格的な歯周病(歯周ポケット6mm以上)の方がほとんどいないというデータがあるので、歯間ブラシが入るレベルまで開いたすき間は存在していない人の方が多いと想定したからです。
しかし、一部の若い方(特に25歳以上の方)でも、歯周ポケット4~6mmという軽度歯周病レベルの方も一定数おられます。歯と歯の間から歯周病は進行するとも言われているので、リスク部位は抜かりなくお掃除してもらいたいのが私の願いです。
フロスと歯間ブラシのタイミングは「歯磨きより前」である理由
- 歯ブラシ→フロスもしくは歯間ブラシ
- フロスもしくは歯間ブラシ→歯ブラシ
どちらが、補助的清掃用具を使うタイミングとして正しいのでしょうか。正しくは、フロス(歯間ブラシ)を使ったあとに、歯ブラシで歯を磨くようにするのが理想です。
理由としては以下2つが挙げられます。
- 歯垢や食べカスを先に取れるから
- フッ化物配合歯磨き粉の効果がより期待できるから
です。それぞれについて詳しく掘り下げていきましょう。
歯垢や食べカスを先に取れるから
先にフロス(歯間ブラシ)を使用することで、歯と歯の間の細菌の塊であるプラークや食べカスを取ったあとに、あらためて歯ブラシで磨いてうがいをすることで、プラークをより取り除きやすくする効果が期待できます。
フッ化物配合歯磨き粉の効果がより期待できるから
フッ素入りの歯磨き粉を使用される方は「フロスもしくは歯間ブラシ→歯ブラシ」の順番で歯磨きを行うことで、フッ素入り歯磨き粉を付けたあとのうがい回数が減るので、フッ素がお口の中で維持されやすいのがメリットです。
歯科医院でフッ素塗布を行った後に「30分ぐらいは飲んだり食べたりするのは控えていてね~」と言われた経験はありませんか?
経験があります!
何が言いたいかというと、歯磨きのあとはうがいなどはしない方が、フッ素の効果をより期待できるのです。